【オーナー様へ】民法改正による連帯保証人への極度額設定

こんにちは。業務推進課の貝津です。

 

今回はオーナー様向けに個人連帯保証人についてお話したいと思います。

連帯保証人への極度額設定

近年では、賃貸住宅の新規契約の約6割が保証会社を利用しておりますが、その一方で4割の方が連帯保証人をつけて保証会社を通さずにご契約されている現状となっております。

 

個人連帯保証人について2020年4月1日より民法が改正される予定となりました。

 

改正内容を一言でいうと
『賃貸借契約の個人連帯保証人には極度額の設定が必要になる』
という点です。

極度額とは

『極度額』とは連帯保証人が支払う金額の上限の事をいいます。

内容としては、未払い家賃だけではなく、駐車料金・更新料・原状回復費用として、残置物撤去費、修繕費、違約金も含まれます。これらの費用をまとめて「負担総額」といいます。

 

この度の改正に伴って『極度額』を定めていない契約は無効となります。

 

従来の契約では、
「連帯保証人は、借主と連帯して、本契約から生じる乙の債務を負担するものとする。」
という内容になっており、上限額の定めはありませんでした。

 

この改正によりいくらまで連帯保証人は責任を負うのか明確になります。
連帯保証人の方は上限額を理解した上で契約が出来るようになります。

 

オーナー様の注意点としては、『極度額』よりも「負担総額」が大きい場合の差額は、保証されないということです。

対策

極度額の設定は、賃料帯や、負担総額によって異なるため、貸主及び連帯保証人等の関係当事者間でしっかりと協議を行いましょう。

 

国土交通省より、極度額設定の為の参考資料が公表されています。ご参照ください。

◆参考資料抜粋◆

平成9年11月~平成28年10月までの裁判所の判決で、連帯保証人の負担として確定した額(負担総額)は、平均で家賃の約13.2か月分でした。
また、保証会社を利用した場合の負担総額は賃料帯別で下記の通りでした。

 

【賃料帯別に以下の8つに設定した「保証会社の負担総額」平均値】

①4万円未満・・・17.7万円
②4万円~8万円未満・・・28.2万円 
③8万円~12万円未満・・・50万円 
④12万円~16万円未満・・・71.2万円
⑤16万円~20万円未満・・・97.3万円 
⑥20万円~30万円未満・・・126.2万円 
⑦30万円~40万円未満・・・156.8万円 
⑧40万円以上・・・437.3万円

 

(公財)日本賃貸住宅管理協会・日管協総合研究所による賃貸住宅市場景況感調査

「日管協短観」による家賃滞納発生率は、2008年下期~2017年上期までの平均で7.5%でした。そのため賃借人100人のうち7~8人は滞納リスクがあります。

 

※出典:平成30年3月30日国土交通省「極度額に関する参考資料」

http://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000121.html

まとめ                                   

近年、賃貸住宅の新規契約の約6割が保証会社を利用していますが、連帯保証人を設定の場合、極度額の設定が義務化されます。
賃貸経営者は借主債務保証をどのように行うのか、極度額設定をどうするのかについて、今後の賃貸業界の動きにも注視しておきましょう。
今後動きがありましたら随時お伝えしたいと思います。