【オーナー様へ】賃貸経営における不当利得
こんにちは、営業部の樋口です。
2月に入り徐々に天候も春めいて来ておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
この2・3月は転勤や入学等でお部屋探しや転居されるお客様が多くいらっしゃる時期で、日々東奔西走しております。
また、物件を所有されているオーナー様にとっては、昨年1年間の収支をまとめ、税務署に報告する確定申告の時期でもあります。
今回のブログでは、確定申告の時期に発覚しやすい「不当利得」についてご紹介したいと思います。
賃貸経営における不当利得
不当利得とは
不当利得とは、法律上受け取る権利が無いにも関わらず、他人の財産または労務によって受けた利益のことです。
民法703条では、不当利得について、次のとおり返還義務を規定しています。
第703条【不当利得の返還義務】
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
※民法より
不当利得の一例
ここで不当利得の事例をいくつかご紹介します。
① 家賃過払い
借主が家賃等を定められた金額より多く支払っていた場合、貸主が受け取る権利を持たない「不当利得」になります。
② キャッシングサービス金利
キャッシングサービス等で金利が15%以上の借入れを行い、払い過ぎた利息が不当利得になります。
不当利得返還請求を行うには
返還請求を行うには、下記の4要件を満たす事が必要です。
1.他人の財産または労務によって利益を受けること
2.他人に損失を及ぼしたこと
3.1.の利益と2.の損失との間に因果関係があること
4.1.の利益に法律上の原因がないこと
4要件を満たす、何らかの客観的な証拠が必要となります。
家賃であれば、賃貸借契約書や更新契約書、口座の残高・入出金明細や管理会社からの送金明細といった物が証拠となり得ます。
不当利得返還請求には期限があります
ご説明してきました不当利得ですが、返還請求権には時効があります。
2020年4月の民法改正により、時効が2つの基準によって判断され、いずれか早い方で時効期間が満了します。
債権の消滅時効 | |
請求権が行使できることを知っている | 権利を行使することができることを知った時から5年間 |
請求権が行使できることを知らない | 権利を行使することができる時から10年間 |
人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権 | 権利を行使することができる時から20年間 |
※ただし、民法改正前の2020年3月31日以前に発生した債権の場合、新民法ではなく、改正前の民法が適用されますので時効の期間が異なります。
まとめ
当社においても、入居者様が退去清算金や補修費、家賃を多く入金された際に返金処理を行うことが年に数件あります。
先日も原状回復費用を多く入金され、おつりをお返しした事もあります。
不当利得、普段の生活では聞き慣れない言葉ではありますが、賃貸の現場では家賃や町内会費といった所が不当利得と成りやすいですので、確定申告される前に再度確認されてみてはいかがでしょうか。