【オーナー様へ】10月国交省策定「事故物件告知義務ガイドライン」

こんにちは。営業部の樋口です。

 

台風なども無く、天候に恵まれ過ごしやすい日が続いた10月も終わり、師走の足音が聞こえ始めておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

今回のブログでは、10月に国土交通省より発表された「事故物件の告知義務」に関するガイドラインについてお伝えしたいと思います。

10月国交省策定「事故物件告知義務ガイドライン」

不幸にも賃貸物件で入居者が亡くなると原因を問わず「事故物件」と呼ばれ、物件価値が著しく下がってしまい、入居付けなど賃貸経営上大きなリスクとなります。
事故物件に対する明確な基準はこれまで決まっておりませんでしたが、今回、国交省が「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」を公開しました。

 

告知義務なし 告知義務あり ※目安は3年間
・老衰、持病による病死などの自然死
・自宅の階段からの転落や入浴中の溺死、転倒事故、食事中の誤嚥など日常生活の中で生じた不慮の事故
・隣接住戸や通常使用しない集合住宅の共用部での死亡(自殺や殺人も含む)
・自殺や殺人
・自然死でも死後の発見までに時間がかかり特殊清掃や大規模リフォームなどが行われた場合
・借主や買主から問われた場合
・特段の事情があり告知が求められると判断した場合

 

今回ガイドラインが公開された理由として、従来の不動産取引では人が亡くなったことによる心理的瑕疵について、適切な判断基準が無く、業界の慣例や少ない判例、不動産会社によって異なる対応がされてきました。
こうした状況では、双方が安心して取引が出来ないという問題などトラブルが多かったため、現時点においての判例や取引実務の中で妥当と考えられる基準を整理することとなりました。

 

賃貸取引においては、告知の必要性と告知が必要な期間の目安が示されています。
本ガイドラインでは「他殺」「自殺」「事故死」については告知する事項とし、「病死」「老衰」といった自然死や日常生活における不慮の死は「告知の必要は無い」と明記されています。なお、告知の必要な期間は発生から3年間とされています。
実務上、心理的瑕疵が薄まるには2~3年掛かるとされており、ガイドラインもこれに則した内容となっています。

 

ただし、「孤独死」に関してはガイドラインで例外とされています。
誰にも看取られることなく室内で死亡してしまう場合、発見までの時間によって影響の大小が分かれます。
発見が遅れてしまうと、特殊清掃(臭いや汚れの除去)が必要となる割合が高まりますので、その場合は告知が必要とされ、原則3年間は告知する必要があります。

 

告知義務がついてしまうと客付けに苦戦する事が予想され、賃料も相場から30~50%ほど低くして募集せざるを得ませんし、空室期間も長くなります。
空室が続けば、本来得られるべき家賃収入を逸する期間が長くなりますが、今回のガイドラインに則れば、逸失期間を最小限にできると期待されます。

まとめ

今回公開されたガイドラインには法的拘束力はありませんが、不動産会社の対応を巡ってトラブルとなった場合には、ガイドラインが考慮されることになります。
ガイドラインが整備されたことで契約後のトラブル防止につながることが期待されますし、賃貸オーナー様が無用なトラブルに巻き込まれるリスクを減らすことも期待されます。

 

当社においても、今回公開されたガイドラインに基づき、オーナー様に安心していただける管理業務を行って参りたいと思います。